フリーランスになったら必須!国民健康保険と国民年金の手続き・保険料・減免制度を徹底解説
独立してフリーランスとして活動を始める際、仕事の準備と並行して「税金」「保険」「年金」に関する手続きを進めることは非常に重要です。特に、会社員時代に会社が手続きをしてくれていた健康保険や年金については、ご自身で手続きを行う必要があります。
このページでは、フリーランスが加入することになる「国民健康保険」と「国民年金」について、その概要から具体的な手続き方法、そして知っておきたい保険料や減免制度まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。これらの情報をしっかりと理解し、安心してフリーランス生活をスタートさせましょう。
フリーランスになったら国民健康保険・国民年金への切り替えが必須
会社員の場合、健康保険と厚生年金は会社が手続きを行い、保険料も会社と折半していました。しかし、フリーランスになると、ご自身で国民健康保険と国民年金に加入し、保険料も全額ご自身で負担することになります。これは、健康や老後の生活を支えるための大切な制度ですので、必ず手続きを行いましょう。
会社員時代の社会保険からの切り替え
会社を退職し、フリーランスとして独立する方は、これまでの社会保険(健康保険と厚生年金)から国民健康保険と国民年金への切り替えが必要です。手続きを怠ると、医療費の全額自己負担や年金受給資格への影響が出る可能性がありますので注意が必要です。
国民健康保険について理解する
国民健康保険は、病気やけがをしたときに医療費の負担を軽減してくれる大切な制度です。フリーランスとして独立した場合、原則として国民健康保険に加入することになります。
1. 国民健康保険の加入手続き
会社を退職したら、原則として退職日の翌日から14日以内に、お住まいの市区町村役場の窓口で手続きを行う必要があります。
必要書類(一般的なもの) * 健康保険資格喪失証明書(会社から発行されます)または退職証明書 * 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど) * マイナンバーが確認できる書類 * 印鑑(不要な場合もありますが、念のため持参をおすすめします)
手続きの流れ 1. お住まいの市区町村役場の国民健康保険担当窓口へ行きます。 2. 必要書類を提出し、加入の申請書を記入します。 3. 手続きが完了すると、後日、国民健康保険被保険者証(保険証)が郵送されるか、その場で発行されます。
2. 国民健康保険料の計算方法と支払い
国民健康保険料は、お住まいの市区町村や前年の所得、加入する人数などによって計算方法が異なります。一般的に、次の要素を組み合わせて算出されます。
- 所得割: 前年の所得に応じて計算される部分です。
- 均等割: 加入者一人ひとりに均等にかかる部分です。
- 平等割: 一世帯ごとに均等にかかる部分です(自治体によっては導入されていない場合もあります)。
- 資産割: 固定資産税の金額に応じて計算される部分です(自治体によっては導入されていない場合もあります)。
保険料は、年間の金額を数回に分けて納付書で支払うか、口座振替で支払うことが一般的です。
3. 知っておきたい国民健康保険料の減免・軽減制度
国民健康保険料は所得に応じて決まるため、独立したばかりで所得が少ない場合や、災害などで大きな被害を受けた場合などには、保険料が減免・軽減される制度があります。
- 所得が少ない場合の軽減制度:
- 前年の所得が一定基準以下の場合、保険料の「均等割」や「平等割」が7割・5割・2割軽減される制度です。自動的に適用される場合が多いですが、申請が必要な場合もありますので、市区町村役場に確認しましょう。
- 失業・廃業による減免制度:
- 会社都合による退職(特定受給資格者)や、事業の廃止などにより所得が激減した場合に、保険料が減免される制度です。これも申請が必要で、雇用保険受給資格者証などの提出を求められることがあります。
- 非自発的失業者に係る国民健康保険料の軽減:
- 倒産・解雇など会社都合で離職された方(特定受給資格者・特定理由離職者)は、国民健康保険料が軽減される場合があります。前年の給与所得を30/100とみなして計算されるため、大幅な軽減が期待できます。これはハローワークで発行される雇用保険受給資格者証が必要です。
これらの制度を利用するためには申請が必要な場合がほとんどです。ご自身の状況に合わせて、お住まいの市区町村役場の窓口に相談してみることをおすすめします。
国民年金について理解する
国民年金は、すべての国民に加入が義務付けられている公的年金制度です。老後の生活だけでなく、病気やけがで障害が残った場合の「障害年金」、一家の働き手が亡くなった場合の「遺族年金」など、万が一の時にも備えられます。
1. 国民年金の加入手続き
会社を退職し、フリーランスとして独立する場合、国民年金第1号被保険者となります。原則として退職日の翌日から14日以内に、お住まいの市区町村役場の国民年金担当窓口または年金事務所で手続きを行う必要があります。
ただし、会社員時代に配偶者の扶養に入っていた方(国民年金第3号被保険者だった方)は、ご自身で国民年金第1号被保険者への切り替え手続きが必要です。
必要書類(一般的なもの) * 年金手帳または基礎年金番号通知書 * 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど) * マイナンバーが確認できる書類 * 退職日のわかる書類(健康保険資格喪失証明書、退職証明書など)
手続きの流れ 1. お住まいの市区町村役場の国民年金担当窓口、または年金事務所へ行きます。 2. 必要書類を提出し、加入の申請書を記入します。 3. 手続きが完了すると、後日、国民年金保険料の納付書が郵送されます。
2. 国民年金保険料の額と支払い
国民年金保険料は、年度ごとに全国一律で定められています。 (例:令和6年度は月額16,980円です。)
保険料は、納付書で支払う、口座振替、クレジットカード払いのいずれかの方法で納付します。まとめて前払い(前納)すると、割引が適用される制度もあります。
3. 知っておきたい国民年金保険料の免除・猶予制度
所得が少ない場合など、国民年金保険料の支払いが困難な場合には、免除・納付猶予制度があります。これらの制度を利用すると、保険料の支払いが免除されたり、後で支払うことができるようになったりします。
- 免除制度:
- 全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除があります。前年の所得に応じて審査され、承認されると保険料の全部または一部が免除されます。免除された期間も年金の受給資格期間には算入されます(将来受け取る年金額は減少します)。
- 納付猶予制度:
- 50歳未満の方を対象とした制度で、一定の所得基準を満たす場合に保険料の納付が猶予されます。猶予された期間は年金の受給資格期間に算入されますが、将来受け取る年金額を増やすためには、10年以内に追納(後から支払うこと)が必要です。
- 学生納付特例制度:
- 学生の方で所得が一定額以下の場合に、保険料の納付が猶予される制度です。これも追納が可能です。
これらの制度を利用するには、ご自身での申請が必要です。特に独立したばかりで収入が不安定な時期には、積極的に検討してみる価値があるでしょう。お住まいの市区町村役場または年金事務所で相談することができます。
よくある質問とその回答
Q1. 国民健康保険料や国民年金保険料が高いと感じるのですが、何か対策はありますか?
A1. はい、いくつかの対策が考えられます。まず、上記で解説した国民健康保険料の減免・軽減制度や国民年金保険料の免除・猶予制度に該当しないか確認し、該当する場合は速やかに申請を検討しましょう。特に、独立初期で所得が少ない方は積極的に利用すべき制度です。
また、健康保険については、任意継続制度(退職した会社の健康保険に最長2年間継続して加入できる制度。ただし、全額自己負担となります)、またはご家族の扶養に入る(条件を満たす場合)という選択肢もあります。国民健康保険との保険料を比較検討し、ご自身にとって最適なものを選ぶことが大切です。
Q2. 手続きを忘れてしまった場合、どうなりますか?
A2. 国民健康保険、国民年金ともに、手続きをせずに放置すると、未加入期間が生じてしまいます。
- 国民健康保険: 無保険状態となり、病気やけがをした際に医療費の全額を自己負担することになります。また、過去にさかのぼって保険料を支払う義務が生じ、その期間分の延滞金が加算される可能性もあります。
- 国民年金: 未納期間が生じ、将来受け取る年金額が減額されたり、最悪の場合、年金受給資格期間が不足して年金を受け取れなくなったりする可能性があります。また、万が一の際の障害年金や遺族年金も受け取れないことがあります。
気づいた時点で速やかに市区町村役場または年金事務所へ相談し、手続きを行いましょう。
まとめ
フリーランスとして安心して活動を続けるためには、国民健康保険と国民年金への適切な加入と手続きが不可欠です。独立当初は何かと忙しく、手続きが後回しになりがちですが、ご自身の健康と将来の生活を守るためにも、最優先で取り組むべき事項といえます。
このページで解説した内容を参考に、ご自身の状況に合わせて必要な手続きを進めてください。不明な点があれば、遠慮なくお住まいの市区町村役場や年金事務所の窓口に相談してみましょう。専門家が親身になってサポートしてくれますので、心配なことは一人で抱え込まず、積極的に情報を得るようにしてください。
安心してフリーランス生活を送るための一歩として、これらの手続きを確実に完了させましょう。